愛に溺れろ。


何をしてたわけでもない。
ただ彼女は座ってただけ。




それでも俺の視線を、瞳を、
彼女は一瞬にして奪っていった。









ただし俺達が出逢ったのは
教師、そして生徒と言う関係。







気持ちなんて伝えられるはずもないし、近づきようにも方法がない。







俺はただ、あいつに他の男が
出来ないことだけを祈っていた。







正直あいつは誰が見ても可愛くて、俺が廊下で見かけるたび、いろんな男に告白されていた。










里香が告白されるたび、心の中じゃ『断れ、断れ』と叫んでいた。





あいつが頭を下げて謝ると安心したし、押しに負けそうになると、内心焦った。






ホント、何処の小学生かってくらい、俺の心はあいつでいっぱいだった。







そして1年間、里香に彼氏が
出来ることは無かった。





俺はそのことに安心しきっていたんだ……。


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