愛に溺れろ。

「里香?」


ふいに呼ばれた名前に顔をあげれば、心配そうにこちらを見ている麻美と目があった。



「ど、どうしたの?」



「どうしたのって……。気付いてないの?里香、泣いてるよ?」



「え?」



麻美に言われ、頬に触れる。


今気付いた涙の存在。
それをすぐさま指で拭う。



「ご、ごめん。何か目が痛くて……」



「本当に?」



「麻美……?」



「本当に、それが理由?」



確信をつく麻美の口調。
親友に嘘をつく罪悪感。


全てを話したら……楽になるのかな?麻美になら、話しても良い?




「里香、話してよ。何の役にもたたないかもしれないけど……。里香が辛い時に黙ってみてるなんて……出来ないよ」



「麻美……」



麻美の優しい言葉。
本当に心配してくれている。


こんなにあたしのことを考えてくれる親友なんて、もう他にいないよね。




「……分かった。屋上行こう?」



あたしは遂に、
麻美に話す決心をした。


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