愛に溺れろ。
「それで、何があったの……って聞くまでもないか」
「え?」
「さっきのさゆり達の話でしょ?」
麻美、さりげなく聞いてたんだ……
「うん……」
「そんなのさ!本人に聞いてみないと分かんないじゃん?」
ゆっくりと近付いてきた麻美は、
あたしの横に並び顔を覗き込む。
「悩むのはまずそれから!まずはあっちゃんに聞いてみなよ!」
「麻美……」
麻美の力強い言葉。
自然と顔がほころぶ。
その時ちょうどチャイムが鳴った。
「1限目始まったね。あたし今から出てくるから、里香はあっちゃんとこ行きなよ。多分授業は無いと思うからさ」
「でも……」
今からは……。
まだ心の準備出来てないし……
「思い立ったら即行動あるのみ!化学準備室まで一緒に行くから。ねっ?」
ぎゅっと握られた手に力をもらったあたしは、麻美と一緒に化学準備室へと向かった。