愛に溺れろ。

「それで、何があったの……って聞くまでもないか」


「え?」


「さっきのさゆり達の話でしょ?」



麻美、さりげなく聞いてたんだ……




「うん……」



「そんなのさ!本人に聞いてみないと分かんないじゃん?」



ゆっくりと近付いてきた麻美は、
あたしの横に並び顔を覗き込む。




「悩むのはまずそれから!まずはあっちゃんに聞いてみなよ!」




「麻美……」



麻美の力強い言葉。
自然と顔がほころぶ。




その時ちょうどチャイムが鳴った。



「1限目始まったね。あたし今から出てくるから、里香はあっちゃんとこ行きなよ。多分授業は無いと思うからさ」



「でも……」



今からは……。
まだ心の準備出来てないし……



「思い立ったら即行動あるのみ!化学準備室まで一緒に行くから。ねっ?」



ぎゅっと握られた手に力をもらったあたしは、麻美と一緒に化学準備室へと向かった。



< 65 / 129 >

この作品をシェア

pagetop