愛に溺れろ。


「サボりたくてサボったわけじゃないもん!あっちゃんのせいだよ、本はと言えば」



「は?何のことだ」



「それは里香から聞いて!じゃ、教室戻るから。ちゃんと言うんだよ、里香!」




そう叫んだ麻美は、
足早に教室へと戻って行った。





「何だアイツ……」



「アハッ」



そう呟いた敦志に、苦笑いをするしか出来なかったあたし。




「それで、何か用なのか?」



「あ、いや……その、うん……」



「どっちだよ。とりあえず入れ」



そう言い、敦志は鍵を開けた。

あたしを中へと入らせると、
扉を閉めて窓際へともたれた。




「それで、何の用だ?」




何だかその言い方……用が無かったら来ちゃいけないみたい。



少しムッとするあたしに
敦志が言葉を続ける。



「勘違いするなよ。俺に会いに来てくれるのは嬉しいが……授業をサボってまでとは言わない」



「あ……」



「分かったなら良い。それで何なんだ?」



煙草をポケットから出し、
そのまま火をつけ煙を吐き出す。

横目であたしを
見ているのが分かった。



そのことに何だか緊張して、声が上手く出ない。だけど、このままじゃ埒が明かない。



駄目なんだ、これじゃ。
言わなきゃ……何も始まらない―!




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