愛に溺れろ。
「昨日……何してたの?」
「昨日?」
「学校帰ってから」
「家にいたが?」
「何も……な、かったの?」
駄目っ、声が震える。
決心が……緩む。
これじゃあ、
何も聞けないっ…!
「お前、どうした?」
煙草を灰皿へ押し付け、
体勢を変えあたしを見つめる。
「昨日……さゆ、りっ―」
それ以上は、
言葉に出来なかった。
喉に痞えて、
上手くしゃべれない。
さゆりは可愛い。
敦志はあたしなんかより、
さゆりを好きになるかもしれない。
そんなの絶対に嫌。
だけど……だけど―