愛に溺れろ。

「昨日……何してたの?」


「昨日?」


「学校帰ってから」


「家にいたが?」


「何も……な、かったの?」




駄目っ、声が震える。
決心が……緩む。


これじゃあ、
何も聞けないっ…!




「お前、どうした?」



煙草を灰皿へ押し付け、
体勢を変えあたしを見つめる。




「昨日……さゆ、りっ―」




それ以上は、
言葉に出来なかった。




喉に痞えて、
上手くしゃべれない。




さゆりは可愛い。

敦志はあたしなんかより、
さゆりを好きになるかもしれない。






そんなの絶対に嫌。
だけど……だけど―


< 68 / 129 >

この作品をシェア

pagetop