愛に溺れろ。

しばらくして泣き止んだあたしから、そっと体を離す敦志。




そして頭上から
降ってきた優しい声。



「悪かったな、里香」



敦志の初めての謝罪。

言葉に出来ずに、
ただ首を横に振る。




「でも分かって欲しい。仮にも俺は教師だ。夜遅くに尋ねてきた生徒をそのまま帰すことなんか出来ない。ましてや1人で帰らせるなんて……」



「うん……、分かってる。ごめんなさい」



俯くあたしを、
もう一度抱きしめる敦志。





「でも、嬉しかった」



「え?」



「初めて、自分の本音を言ってくれた。それに……まさかヤキモチ焼くなんてな」



体を離して覗き込んだ敦志の顔には……とっても意地悪な笑みが浮かんでいた。




「だっ、だって…―!」



「可愛かった」




カアァァ―!

一気に染まった頬に、
敦志の唇が舞い降りる。



おでこ、瞼、頬、唇。
優しい、優しいキス―


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