愛に溺れろ。

里香はソファーに座り直し、
机に置いた紅茶を口につけた。



視界に、何度も俺を見ているのが分かる。


まぁ何も言わずに勝手に連れて来たからな。


当たり前か……。




「DVDでも見るか」


「え?」



「お前が見たいって言ってたやつ。昨日借りてきた」



「そ、そうなんだ……。ありがとう」



横目で里香を見ながら、
DVDをセットする。



「電気、消すぞ」


そう言った瞬間、
里香の肩がビクッと動く。




ったく……。
この前はあんなに
強気だったくせに……。



電気を消し、ドカッと座ったのは里香の隣。




緊張が解けていない里香は、
ガチガチに固まったまま。

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