愛に溺れろ。
映画も終盤に差し掛かった時、
ふいに世界が回転した。
「え……?」
目の前には敦志の顔。
顔の横には、強い力で
拘束されるあたしの両手。
押し……倒されてる?
「お前は……何も分かってない」
「分かってないって……」
「お前はどうせ何で連れてきたのとか、気を使ってるんじゃないかとか考えてるだろう」
ど、どうして…っ…!?
思わず敦志から
視線を逸らした。
「馬鹿か。何とも想ってないやつをわざわざ迎えになんか行かない。家になんて、呼んだりしない……」
握られた腕が、
ギリギリと痛む。
これは……敦志の想い?