愛に溺れろ。
「何、ボーッとしてんだ」
「ご、ごめん」
「別に謝らなくて良い。ホラ、お湯がたまるまで皿洗うぞ」
「あ、うん」
先にリビングへ行った
敦志を急いで追いかける。
「お前は拭け」
そう言って渡された
タオルを素直に受け取った。
静かなリビングに
お皿を洗う音が大きく響く。
チラッと敦志を盗み見ると、
真剣にお皿を洗っていた。
敦志がお皿洗ってるトコなんて、何か新鮮だなぁ……。
そんな姿に
フフッと笑みが零れた。
「何、笑ってんだ」
いつのまに見ていたのか、ギロッとあたしを睨む敦志と目が合った。
「え!?いや、別に、何も……」
「へ~…」
何か疑いの視線を向けながら、
敦志は深く追求してこなかった。
ふぅー…よかった。
聞かれたら、
絶対答えられないもん。