GUN

「ってことは、ギルも私たちの仲間だな。」


 リンさん、嬉しそうに言いますね。


 こちらとしては身が重いですが・・・。


「問題は、ラグストールさんにどうやって伝えるかよね?下手に街には戻れないし・・・」


 ララが遠くだが、まだ見えるライスト国を見ながらつぶやく。


「とりあえず、次の村で手紙を書くしかないだろう。」


 というコトで、彼らの北に向けての旅が始まった。


 道中、ギル君がどうして、劇場と孤児院を燃やしてしまったのかを聞いた。


 しかし、自分でもよくわからないそうだ。


 ここは、燃やさなくてはいけない気がしたから、燃やした。


 ・・・・・・・それが偶然、闇組織の基地。


 勇者か・・・。


 信じたくないが、なにかしらの運命を背負ってしまったことは確かなのだろう。


 ラグストールとは合流できそうにないし、俺たちが守ってやらないとな・・・。


 そんなことを考えながら、彼らは歩く。


 ギル君も多少生意気だが、それなりにいいヤツだというコトが理解した。


 朝は、誰よりも早く起きて、剣もないのに、素振りの練習をしていた。


 日課だそうだ。


 そんなコトをしても、アイスラではろくな剣は手に入らない。


 彼が次に剣を持てるのは、どれぐらい先なのだろうか?


 そう考えると、一生懸命努力を続けるギル君か不憫に思えた。


< 113 / 146 >

この作品をシェア

pagetop