GUN

「それでも、俺は家族の復讐を果たしたい。」


 心理だった。


 自分は偶然生き残った。


 見つけてしまったのだ。


 病原菌に聞く薬草を・・・。


 しかし、見つけたときには既に家族を失った後。


 自暴自棄になった結果、特効薬を見つけてしまうとは、どれだけ皮肉なことか。


「だったら、他を当たれ。さらに南に進めば、戦民族だっているだろう?」


 あの、野蛮なファイアル人のことか?


「俺は自分の手で撃ちたいんだ!」


「それで、どうする!?」


 バカスが怒鳴る。


「お前が、その貴族さまを殺したら、その貴族の家族がお前を殺しに来るぞ。」


「覚悟は承知のうえだ。」


「馬鹿馬鹿しいな。」


 出ていきなと、バカスが口にした途端。


「!」


 目の前でバカスが倒れた。


 慌てて駆け寄る、グスト


 抱え込み、バカスの顔を見た途端・・・。


「お前、肺を?」


 老人の息の仕方が尋常でないことを、すぐに悟った。


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