GUN

「どうせ、このままアイスラの地に入ってしまえば、ろくな剣は手に入らない。」


 元より、アイスラは学問の地。


 武器の需要なんてほとんどないのだから、刀鍛冶なんて職業もなければ、武器屋なんて店もない。


 せいぜい、観光用や旅人用の護身ナイフや、剣がいいところだ。


「でも、6英雄のアキラは、剣を持ち歩かなかったじゃないか?」


 魔法剣・・・か・・・。


「そんな、高度な魔法がお前に使えると思うのか?」


「俺が勇者というなら・・・。」


 強力な火を剣の形に凝縮して扱う、6英雄、異世界の剣士が使いし魔法、魔法剣。


 無論、剣の威力もさることながら、アキラの剣術があってこそ、その力を無敵と言わしめた技だ。


「お前に魔法剣が使えたとしても、あの剣術じゃ無理だろ?」


 それ以前に、あの未熟な魔法では、剣を作り出す以前の問題だと思うがな。


「でもさ、俺が勇者なら魔王と戦うんだろ?魔王って言ったらさ、メチャクチャ強いんだろ?メチャクチャ!」


「さぁ・・・会ったことないし、見たことないから分からないな。」


 いいながら、グストは銃を取り出し、くるくる回す。


「グストは、頭いいのだろう?」


「さあな?それでも、分からないことはある。それに、魔王と戦うには、剣が必要とは限らないだろう?」


 言うと、銃をギルに向けて・・・。


「例えば、お前の魔法を一点に集中させたら、どうなると思う?」


「一点集中?」


 まだ分からないのか?


 お前の未熟な魔法でも、工夫次第だというコトが・・・。


「まぁ、考えてみろ。お前は良い素質を持っているよ。たぶんな・・・。」


 ファイアルの人間が、アイスラの人間と共に行動できる、機会は少ない。


 この機会に、色々知恵をつけておけ、勇者ギル・・・。



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