GUN

「さすがは・・・学者の国・・・だな・・・。すぐに悟るとは・・・。」


 こんな汚れた空気の中、生活をしていれば、肺がやられるのは、当たり前だ。


 バカスは、見た目から分かるとおり、もういい歳だ。


 身体がいつまでも、この環境に耐えられるはずがない。


「まってろ、今処方箋を作ってやる。台所はどこだ?」


 こんなとき、魔法が使えればと思う。


 しかし、グストは庶民であり、魔法なんて便利なものは使えない。


 旅のルートに、風の国「フーガ」に立ち寄ったのは正解だった。


 自然と供に生きる身族の知恵。


 あそこは、薬草に溢れている。


「余計な、真似をするな若造。老人を助けてなんになる?」


 息も絶え絶えになりながら、立ち上がる、バカス。


 その目は本気だ。


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