GUN

「昔から、こういうやつだよ。」


「そういう、グストこそいつの間に、こんな大所帯を築いたのですか?」


 今度はナーダの質問。


「旅仲間だと言っただろ?お前なら言わずとも分かりそうなものだが?」


「言われたら、言い返さないと、損ですからね。」


 言うとにやりと笑うナーダ。


「そういうやつだよ、お前は・・・。」


 グストは大きくため息をついた。


「あのさ・・・いい加減、説明してくれないかしら?私たちがさっきから置いてきぼりなんだけど。」


 ララが、いい加減痺れを切らして、声を張り上げる。


「そうだ、グスト、こいつらはいったい、なんなんだ?」


「たいしたつながりはない。昔、旅に出る前に少し世話になったと言うだけの話だ。」


 アイスブランド家がばら撒いた、病原菌。


 ソレにより、村は壊滅した。


 しかし、病原菌は広がる。


 それこそ、アイスラ国全土に広がってもおかしくはなかった。


 だが・・・それはこの村で死滅する。


 冬が来たのだ・・・。


 細菌が繁殖するには、ある一定温度が必要。


 アイスブランド家がばら撒いた菌は、寒さに弱かった。


 ・・・もう少し早く冬が来てくれれば・・・。


 もう少し、あいつらの手が遅ければ・・・。


 悔やんだところで、どうすることも出来ない。


 しばらく、行く当てもなく、とても人間とは思えない生活を送っていた、グストを助けてくれたのが、この宿のセイラたちだった。


「あの頃の、グストは酷い顔をしていたからね~。」


 ハハハと笑い飛ばす、セイラ。


 それも、今のようにグストが元気になったことが分かればこそ言える言葉だろう。


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