GUN

「・・・・助けるわけではない。楽に死なすだけだ。」


 グストは、淡々と述べた。


「はっ、言うな!」


 そこで、初めて老人は笑顔を見せた。


 ドーラの民も笑うのだな。


 初めて知った気がした。


「悪いが、俺は魔法は使えないからな。お前の詳しい症状を調べることもできなければ、病状を探ることも不可能だ。だが、コレだけはいえる。」


 安易な予想。


 だけど、たぶん間違いはない。


「お前は、助からない。」


 この環境悪化による肺の病状。


 治す手立てがあるとするなら、ドーラの国から出ることだろう。


 だが、この老体が、病気を引きずりながら、そんな長旅に耐えられるか?


 始めに気がつくべきだった。


 コレだけの簡素な家に、この老人がどうしてこのような巨体でいるのかを。


 おそらくは、病原菌は体中にはびこっており、それが老人の身体に出ているのだ。


 老人が太っているのは、脂肪のせいではない。


 病原菌だ。


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