GUN
旅たち2
次の日。
「では、セイラ世話になった。」
旅支度を整え、グストたちは宿を後にする。
見送りに来たのは、セイラとアシュ。
ナーダは…こんな時間に起きてくるわけがないわな。
「また、来なさいよ。どうせ、部屋なんて余っているんだから。」
セイラはにこやかに笑い。
「次こそ、リンに勝つ!」
腕相撲で負けた、アシュは無意味に意気込み…。
「抜かせ、俺が先にコイツを倒す。」
「その前にお前たちはもう少し力をつけたほうがいい。人差し指で腕立て伏せが出来ない人間が、いたとは、驚きだ。」
リンが、相変わらず無茶苦茶な言葉で返していた。
まぁ、ドワーフは小指で人間を持ち上げるからな…。
「あ、そうそう、ナーダがコレをグストに渡しておけって。」
それじゃあ、と手を振って別れを告げようとした瞬間、セイラから手渡されるのは、一冊の本。
古い文字で書かれている割に、本自体はとても、新しい。
わざと、古代文字で書かれた、新書?
何のために?
「いったい、何の本?」
ララが興味本位で覗き込んで…。
「え?」
驚いた声を上げた。
「さすが、ナーダだな、無駄に本ばかり読んでいない。こんなものまで持っているとは?」
「なんなの?その本?」
セイラがたずね…
「婦人には、ご不用の本だよ。」
グストが冗談で返した。