GUN

「本物かしら?」


「少なくとも、この古代文字の中にチョコチョコ現れる、古代文字とも現代文字とも違う、不思議な文字は、400年前に、ドーラ地域で使われていた文字であることは確かだ。」


 今でこそ、長い年月をかけて、書かれる文字は共通のものとなっているが、400年前の世界では、地域ごとに言葉や文字に若干の違いが見られた。


 わざと古代文字で書かれている、この本にもそのクセが随所に見られる。


 古い本ではよくあること。


 ゆえに、アイスラの民は、ありとあらゆる言葉や文字を覚える。


 古代文字が読めないアイスラ人が多いのも、それ以外に覚える言葉や文字が多いからだ。


「信憑性はあるわけか…」


「ナーダがそんな眉唾物を渡すとも、思えないしな。」


「信用しているのね?」


「それなりにはな。」


 いいながら、グストは本をララに渡す。


「どういうこと?」


「言っただろう?俺は、古代文字は読めて4割程度。その本を読むことは出来ないんだよ。出来れば翻訳して欲しい。」


「ハイハイ…それにしても、400年前の魔王封印の書物か…」


 おそらく、それは『魔法が使えない時期』にいかようにして魔王を封印するのか、その方法を書かれた書物。


 彼らは…いや、少なくとも生き残った『土の英雄』は、予見していたのだ。


 魔王が復活することを…。


「……なら、なぜ15年前、何もしなかったのだ?」


 思わず声に出た。


 予見していたのなら、戦うべきだったのだ。


 15年前に、新たに現れた6英雄と共に、土の英雄は再び立ち上がる義務があったはずなのに…。


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