GUN
「さすがは貴族さまのお宿だな。」
ホテルの概観を見ての感想。
こんな大層なところ、グストには一生かかっても、縁のあるところではないだろう。
「いよぉ、待っていたぞ。」
ホテルに、入ると玄関先に昨日の、恰幅のいい髭おじさんが待っているのがみえた。
受付?フロント?名前は忘れたが、なんで、宿泊帳簿をつけるだけのところに、こんな豪華なテーブルやら、ソファーやらが、設置されているんだ?
髭オヤジの傍には、側近と思われるお供が数人。
ソファーに座る、髭オヤジに酒を注いだり、タバコに火をつけたりしている。
面白いのが、そのタバコをつける際に、何もないところから火を出しているのが象徴的だった。
つまり、この側近も魔法使い。
しかし、あの最強とうたわれる炎系の魔法を、タバコの火をつけるためだけに使うとは・・・
どれだけブルジョアだ?
「見るからに、金持ちだな。」
「それは、思っていても、口にしてはいけないことだぞ。リン。」
一応、注意はしたが、まったくもってその通りだったので、強くは否定しなかった。
「私も、あんな服が欲しい。」
「無理だ。」
そんなやり取りをしながら、あの髭オヤジの前に。