GUN
「フーガに行くよりは、ここで孤児院を探すほうが、早い気はするがな。」
とりあえず、コーヒーを一口。
「まったく、別の視点から物事を考えることは出来ないの?」
まったく別?
「どういうことだ?」
「その拳銃とやらを私に貸して、あなたはこの街で医者をやる。」
・・・・・・・・・・冗談。
「俺に医者となれと?」
「幸い、ここはライストの街。降魔師には困らない。お金なら私が出してあげる。あなたの才能なら、私以上の医者になれる。そして、リンちゃんと一緒に暮らす。」
「それで、お前は、銃を持って母と兄を殺し、監獄行きか・・・頭の良い選択とは言えないな。」
「共倒れより、マシよ。」
ごもっとも。
「だったら、お前がリンを引き取れ。フーガの人間だって困っているだろう?主治医が抜けて、助手一人だけ戻られても。」
成り行きで仲間にしたものの、やはり、いきなりフーガの医者が抜けるというのは問題だ。
「あの助手はもう一人前よ。」
「だからと言って、あいつが医療魔法を使えるわけではない。」
「十分だわ。魔法に頼りきりの医療は、もう時代遅れよ。」
だからと言って、まだ魔法による治療の効果は絶大だ。
一週間かかる火傷を一晩で直し、粉々になった骨を、2時間で元に戻す。
それがなくなるというコトは・・・。