GUN


「どこだ・・・ここは・・・?」


 後ろを見る、街が遠い。


 俺は・・・いつの間に、街を抜け出していた。


 あ、そうだパパに買ってもらった剣が・・・ない。


 って、そうか、あの憲兵に取られたのだ。


 どうする?街に戻るか?


 ダメだ、戻ったら憲兵に捕まる。


 パパに助けてもらうか?


 無理だ。パパは自分が捕まったときにも、何も出来ずに叫ぶしか出来なかった。


 どうする?街には戻れない。


 パパにも頼れない・・・。


 他に頼りになる大人は・・・。


 くそっ!ここから、ファイアルに戻るにはどうしたらいいんだよ!?


「あ、ギル~。」


 知らない声が聞こえた。


 どこかで聞いたことのある声。


 顔を向ける。


 そこにいたのは、黒い服を着た、黒髪の自分と同じぐらいの身長をした女の子。
その間には、大人の男と女もいる・・・。


 あれは・・・先日劇場のところであった・・・確か・・・リンという名前の・・・。


 そこまで、考えたところで、ギルの意識は途切れた。



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