キミと雨

そんな淡い期待を必死に打ち消しながら、相手の反応をジッと待つ。
触るわけでも追いかけるわけでもなく、ただそこに立って立ち去る気配のない人間。

しばらく睨み合いのように動かなかった。

沈黙を破ったのは向こう。

煩い雨の音から聞こえる柔らかい声。



「…、さや。」



小さく言われたその言葉に思わず耳を向ける。

…"さや"、って何?

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