キミと雨

戸惑う僕に彼はもう一度言った。

「沙耶。」


今度はさっきよりはっきり。

意味は分からないけど、それに反応出来ない自分がなんだか申し訳なく感じる。


「にゃーぁ…」


何かを返したくて、応えるように彼に向かって鳴いてみる。

すると、必死なその鳴き声が聞こえたのかいきなり近くなった彼の顔。

僕の前にしゃがみ込むと真っ直ぐに見て来る。

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