キミと雨

少し恐くなって後ろに下がったら明るく笑う声が聞こえた。


「…恐い?」


どこか笑いを含んだ声で問いかけられる。

僕の気持ちが分かっているのかもしれない。

怒るでも呆れるでもなく、優しく笑ってくれた彼に、あのワンピースの彼女の笑顔が被った。

全然見かけも声も雰囲気も違う彼に、どうして重なったのかは分からない。

けれど、確かにさっきと同じような温かさを感じた自分がいた。

触って欲しい、そう思ったのは初めてで僕は戸惑ってしまう。

< 20 / 21 >

この作品をシェア

pagetop