最初で最後の手紙
火事
あれから14年。
「行ってきます!」
「俺も行かなきゃ、ヤベェよ」
「いってらっしゃい」
シングルマザーの母。
元気よく家を飛び出したのは、
初音。
後を追いかけるように奏が飛び出す。
奏は、高校三年生。
初音は、中学二年生。
この家には、三人しかいなかった。
明音の姿は、なかった。
14年前
母に来たあのメール。
あれは、父からの最後のメールだった。
[出産立会出来なくて
すまん。
子育ては、大変だ。
だから、俺も
遠くで静かに子育てをする。
明音だよな?
大事に育てる。
だから、探さないでくれ
俺の事全部けしてくれ。
今までありがとな
正治]
このメールで
明音は、父に引き取られ
父と暮らす事になった。
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