昼間の月
「さちの髪、すっげぇキレイ。触ってもいい?」


子供のような表情で、一体何を聞くのかと思えば。
同じことを思ってた、っていうのにあたしは少々面食らった。

「いいけど」
あたしがそう答えると、健司は笑った。空の太陽にも負けないくらいの笑顔。
あたしは健司のこの笑顔が大好き。思わずこの太陽を追い掛けて首を巡らすヒマワリみたいになりたいな、なんて思っちゃう。
…なーんて言ったら、健司はまた笑うんだろうけどさ。

「けど、ただの黒い髪だよ?何がキレイな訳?」
真っ黒なストレートのあたしの髪は、自分でキレイだとは思わない。
こんな髪、結構ありふれたものだと思うんだけど?

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