青春の蒼いカケラ
「俺だけど、新聞か、テレビに出た?」
「いやぁ どうかしたの」かっちゃんが言った
「なんかおかしんだ」
「すぐこいよ」
「すぐいく」
なおとはつけられている気がした、電車の締まる直前に降りて反対車線に乗ってみたり、電話ボックスに入りまわりの様子を見てみたりしながら、埼玉県朝霞のかっちゃんの所まで行った。
「どうしたんだいなおちゃん」
「なんか変なんだ」
「とりあえず、風呂にでも入れ」
 かっちゃんの家は、版場だった。伯父が経営してた。まかないさんが、なおとの事を見て、かっちゃんに言った
「ありゃ、しゃぶだな」
まかないさんは元やくざだった。
「そうかうか、しゃぶか・・・」
 かっちゃんも一緒に風呂へ入ってきた。
注射のあとが有るか見るためだ。

かっちゃんは布団を引いてくれて寝かせてくれた。でも社長の声とか同僚の声が聴こえて眠れなかった。はるおちゃんも仕事を終えて帰ってきた。側に居ただけだった。翌日、和光市の精神病院へ連れて行かれた。幻聴と診断された。すぐに入院になった。かっちゃんとはるおちゃんは。
「早く元気になるんだよ」
といってくれた。なおとは黙ったままだった。幻聴と格闘してた。

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