【片想いの体温】
と、うっとりしながら前を見ると、先生と目が合った。



“吸い込まれそう。不思議な目の色・・・。
大丈夫。 先生、このことは誰にも言わないよ。”


心の中で秘密を誓う。





終業のベルが鳴る。号令と共に授業が終わる。



「―― 渡良瀬、ちょっと。」

「はい。」

廊下に呼び出される。



“えっ、先生自ら告って口止め??”




昨日まで名前も覚えてもらえなかったのに、
今日は呼び出されるなんて。






「渡良瀬んちの店って、男性客来る?」


「はい。いらっしゃいますよ。 
でもうちは野菜中心の料理でヘルシー志向だから、
圧倒的に女性が多いですけど・・・。」



「ふ~ん。 ありがとう。」



“・・・あれっ?” 





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