【片想いの体温】

~ルミちゃんの話~1

―― 私は、うらやましかった。


だってみんな、放課後は部活やったり
ショッピングやカラオケ行ったり、デートしてる子もいたし、習い事したり塾行ったり・・・。


私は多忙すぎる両親に代わって、家事をしなければならないし、弟3人の面倒も見なくちゃならないし。

特に一番下はまだ小学2年生だから、宿題も見てあげなきゃならないし、長時間一人で留守番もさせられないし。


だから私は放課後寄り道せず、すぐ帰宅する。
私はそれを誰にも話していない。
言い出したら止まらなくなる。


愚痴や言い訳は嫌い。

弱音は吐きたくない。






―― でも、どうしてだろう。


たまたま前の席になった色白の、クリッとした大きな目のウサギのような女の子に話した。

この子の周囲だけ、過ぎる時間がゆっくりと流れるような独特の空気を持つ。

この子に話したくなってしまった。

聞いてもらいたくなってしまった・・・。




ところがこの子も、放課後は自営のレストランを手伝っているので、寄り道せずに帰宅すると聞いた。

この共通点が2人の距離をグッと縮めた。

私等は名前で呼び合う仲になった。





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