【片想いの体温】
・・・そして、最後の疑問。

本庄は渡良瀬によって変われた。

そんな渡良瀬がどんな人なのか、前から知りたかった。


だから、勉強の話はいいきっかけになった。





土日以外は、本当に毎日《咲花》に通った。

渡良瀬のお母さんは毎日おやつを出してくれた。

ケーキやビスケットだったり、おにぎりやサンドイッチなども。
正直、それも楽しみだった。



渡良瀬はというと、勉強はたぶん、
クラスの中間くらいのレベルには持っていけたと思う。

後は期末テストまで緩まなければ・・・、
と言う紙一重の話だけど。



気持ちに余裕ができたせいか、表情が明るくなり、
笑顔があったかいと感じた。

何か、こっちの心の中を話したくなるような。

聞いてもらいたくなるような。

“お母さんと顔は似ているけど、持ってる空気は全然違うな。”


―― そして答えが解かった。

それは渡良瀬のお父さんを見た時。
娘と同じ空気を感じた。


お父さんのほうが、年齢のせいもあって
もっと相手を許すような、包み込むような人に感じた。

“渡良瀬は可愛がられて、守られているんだ。”
と感じた。


この空気を受け継ぐ娘に、本庄の心は
ほぐれていったのかもしれない・・・。







< 25 / 33 >

この作品をシェア

pagetop