【片想いの体温】
―― ある日、おやつを食べながら聞いた。

「渡良瀬のお母さんて、何歳?」

「35歳。私を20歳で生んだの。」

「若いもそうだけど、美人だよな。
 俺のカーチャンと大違い。

 ・・・お父さんは何歳?」

一瞬にして渡良瀬の顔が曇った。


「・・・60歳。
 お母さんとは25歳差なの。

 お父さん、お祖父ちゃんのように見えるでしょ。
 しかも背は低いしデブだし、顔だって全然イケてないし。

 私、よくママ結婚したなって思うの。」

「―― でも、ハートはでっかくて温かそうじゃん。」


“・・・渡良瀬、お前分かってないよ。

 男は外見じゃなく中身!そうじゃなかったら
 あんな美人で、しかも若いカミさんなわけないじゃん。”


「・・・そうかな。
 まっ、ママには優しいけどね。

 でも、柏田君のほうが数百倍カッコイイよ。」


“あっ、そう?”


男は中身と言いながら、
やっぱりカッコイイって言われると、かなり嬉しい。


正直、渡良瀬の言葉にドキッとさせられる時がある。


意識してるのか、天然なのか、
いつもさりげなく褒めてくれる。

それが、僕の事ちょっと好きなのかもって思ったり。

全然男として考えてなくて、友達だから言葉に出来るのかも。




“微妙・・・。”


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