【片想いの体温】
毎日のように部活の後《 咲花 》に通い
勉強して・おやつを食べて・・・の日々が実を結び、
期末テストは2人とも上々だった。

渡良瀬は、どの教科もほんの少しずつ平均点を上回り喜んでいた。

これで追試も赤点も、一学期はないだろう。



あまりの喜びに

「柏田君、ありがとう! 大好き!」

と言った。

・・・たぶん、感謝してますって事なんだろうけど、

ドキッとさせられる。







夏休み前に渡良瀬の両親が、僕と本庄を自宅に招待してくれた。


『夏恋がいつもお世話になってるから。』

って事なんだけど。



キッチンでは、渡良瀬のお父さんが料理の腕を振るっていた。

僕らはテーブルに着いて待つ。



「渡良瀬のトーチャン、料理上手いね。」

と僕が言うと、


「本当、やっぱ男は料理だよねぇ。」

と本庄が続ける。

少々言いにくそうに渡良瀬が答える。


「パパ、調理学校の先生だから・・・。」



“ ――ゲッ、
 プロをほめてしまった!”

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