【片想いの体温】
ママに約束した時間は21:00。

21:00には帰宅して、店を手伝う約束だった。

でもルミちゃんとアーティストの出待ちして
帰りの電車でも興奮が冷めなくて・・。

近所の本屋でアーティストの載っている雑誌を
立ち読みする。

本屋の時計を見たらもうすでに21:00になっていた。

“あっ!

・・・でも、いいかっ。”

ママへの言い訳を考えながらも、このルミちゃんとの
空気を壊したくなかった。








「―― あっ。」

ルミちゃんが私の肩をたたく。
ルミちゃんは何か指している。


指の先に手代木先生がいた。



「 ・・・話しかけようよ。」

ルミちゃんはそう言うと先生に近づいていく。


「私達の事、分かるかな。」

「大丈夫だって。」



先生は私達の高校に来たばかりで、まだ数えるほどしか
授業を受けていない。

“ルミちゃんの事は分かると思うけど・・・。”


ルミちゃんは身長も高く、長い足。

黒いストレートの髪を長く伸ばし、顔も
いかにもその通りの賢さがにじみ出る、凛とした美人。

また、孤高の空気を持っていて近寄りがたい感じがする。

学校の制服は特に残酷で、私とルミちゃんでは
全く違う服を着ているように見えた・・・。




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