【片想いの体温】

~夏恋の話~2

――パパの死因は、クモ膜下出血だった。


その日、私とママは二人で映画を見た後、
デパートに寄って来た。

帰宅すると、パパはリビングに倒れていた・・・。



私はお通夜もお葬式もずっと泣いていた。

私はパパが大好きだった。
しかし、ある時期からパパが大嫌いになり
今では会話らしい会話も無かった。


・・・パパは私を可愛がってくれた。

年齢がいってから生まれたから、
余計に可愛くて仕方なかったのかもしれない。


「夏恋はママに似て可愛い。」が口癖だった。

パパあぐらをかいて、私が座る――。

そこが私の席だった。



子供の頃、休日には家族の定番だけど、
動物園や海水浴に連れて行ってくれたり、
近くの公園に行って・・・

補助輪無しの自転車の練習も、鉄棒の逆上がりも
みんなパパに出来るようにしてもらった。

”夏恋”と名付けたのもパパだった。

ママとの恋を名前にして付けたものと教えてもらった。
私はこの名がロマンティックで好きだった・・・。

< 30 / 33 >

この作品をシェア

pagetop