【片想いの体温】
クラスメイトの誰のママよりも若く色が白く、
二重の大きな目の美人で、自慢のママだった。


クラスメイトも私のママが一番きれいだといってくれた。

ママには参観日はもちろん、学校PTA役員の仕事で
姿が見えると嬉しかった。


パパと口をきくのもイヤになったのは、
確か小学校6年生の頃だったと思う。

いわゆる男と女と赤ちゃんの事を知った・・・。
私はショックを受けた。
そしてパパを気持ち悪いと思った・・。

“気持ち悪いパパと美しいママの夏の恋”と思うだけで、
「夏恋」に嫌悪を感じて、名前まで大嫌いになった。

俳優のようなかっこいいパパの娘でさえも
「最悪!」とショックを受けていた・・・。

私は子供心に、

“かっこいいパパならまだいい。でもママは・・・。“

私の中でパパは悪者で、
ママはパパに囚われたお姫様のようで――。

・・・と記憶している。



記憶といえば・・・

パパとママは仲が良くてケンカしているのを見た事がなかった。
パパがママを怒ったり、大きな声を上げたりした事は無かった。
例えばママの失敗も、むしろ笑って楽しんでいるようだった。

ママがパパを悪く言ってるのを聞いた事が無かった。
ママはパパの決定した事には素直に従った。

全ては25歳の年の差からだろうか・・・。

とにかく、パパはママを大事にしていたし、
ママもパパに頼っていた。













< 32 / 33 >

この作品をシェア

pagetop