【片想いの体温】
ママのレストラン《咲花》についたのは
21:25だった。

今日のお店は・・・ガッカリ。
思ったよりずっと繁盛していた。


私はルミちゃんと先生をテーブル席に案内し、
着替えもせずエプロンを着けた。





「――こら、遅刻!!」

ママが小声で言い、軽く睨む。

「初子さんは帰ったの?」

「9時に夏恋と交代って事で頼んだんだもの。
初子さんだって忙しいんだから。」








私はルミちゃんと先生に水を運ぶ。


ルミちゃんはママが作る内緒の
《ルミちゃんメニュー》なので聞かない。


「先生は、コーヒーでよろしいですか?」

「俺、飯食ったんだけど、春野菜のスパゲッティ食べよう。」

「はい、かしこまりました。」

「―― 先生っ。」

ルミちゃんは私を紹介するように手のひらを向けた。

「彼女、バレーボール部の柏田君のガールフレンドですから。」

「――あぁ、そうなんだ。」

まだ日が浅くて分からないような返事を返す。




“――ええっ?!

 何で言うの。

ルミちゃんのバカッ!”





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