善と悪の狭間で・・・
塔の揺れが一層激しくなり、少女の頭上の天井にひびが入る。
「んあぁ……行くぞ!」
自分の身に危険が迫っている事も知らない様子の彼女を見て、乱暴に頭を掻くと少年は彼女の腕を掴み走り出す。
腕を引かれベッドから降りた瞬間、先程まで少女が座っていた場所に天井が崩れ落ち、ぐにゃりとベッドを真っ二つに押しつぶしていた。
少女は驚いたような表情を浮かべ、物凄いスピードで階段を駆け下りる少年の後を追うので精一杯の様子。
階段を降りながら背後を振り返ると、息切れする少女の姿が目に入り、そのすぐ後ろの階段は崩れかかっている。
「クソッ………」
少女に聞こえないように小さく呟くと、彼は彼女の腕を引き自分の胸に引き寄せた。
少年の胸に頭をぶつけながら何が起こったのか把握しようとするが、顔を上げる前に自分の体が宙に浮いた事に気づく。
体が宙に浮いた事と目の前に金髪の少年の顔がある事に気づいた彼女は驚き悲鳴を上げようとしたが…
「しっかり掴まってろよ。」
彼女の叫びを遮るように少年は言い、小窓から飛び降りたのだった。
風を切って落ちて行く2人…
金髪と長いプラチナブロンドの髪が揺れる中、少年に抱かれた少女は力一杯目を閉じ少年の服を掴むのだった…