善と悪の狭間で・・・
「色んな事があって疲れただろ?部屋でゆっくり休むといい。」
ヴェルディはジゼルの頭を撫でそう言うと、リョーガに案内しろと一言。
コウガを連れてリビングへと歩いて行くのだった。
「おい、ちゃんと着いて来いよ。」
「はい。」
2人の後ろ姿に頭を下げると、リョーガに急かされながら階段を上って行った。
二階に着き、少し廊下を進んだ所にある部屋の前で足を止め、リョーガは親切に扉を開けてやる。
「この部屋、自由に使っていいから。」
「えっ……こんなに広い部屋を?」
「あぁ。そんなに驚くなよ。」
部屋の中を見ると、再び目を見開く。
彼女の瞳に映ったのは、清潔感漂う純白のベッドに、心地よい風を運ぶ大きな窓。
その窓にはレースをあしらった薄いピンクのカーテンがあり、机の上には金の縁取りの鏡が置いてある。
見たこともない部屋にまたまた驚かされるジゼルであった。
「あ、俺隣の部屋だから。何かあったら言えよ。」
「はい。ありがとうございます。」
部屋に入ったジゼルを確認すると、リョーガは廊下を歩きながら一言。
その彼の言葉ににっこりと笑顔を見せた。
「じゃ。」
「お休みなさい。」
隣の部屋のドアノブに手を掛け片手を挙げるリョーガに、ジゼルは深々と頭を下げる。
空に浮かぶ月と何千もの星達はキラキラと瞬き、この地の平和に笑顔を見せているようだった。