善と悪の狭間で・・・
ガラスでできた透明なテーブルに、黒い革でできた上質なソファー。
風通しのよい窓の外には緑と赤の飾りを身に纏う木々が立ち並ぶ。
爽やかなイメージの漂うリビングに入ると、コウガはジゼルをソファーに座らせ再びどこかへ歩いて行った。
広いリビングに1人残されたジゼルは、遠慮がちにソファーに腰掛け窓の外を眺める。
ユラユラと優雅に身を揺らす木々に目を奪われていると、背後から何者かの気配を感じた。
すぐさま振り返ると、そこにはグレーの髪をした美少年、ヴェルディの姿が。
ヴェルディは新聞を睨みながらリビングへと入って来る。
「おはようございます、ヴェルさん。」
「ん?あぁ、おはよう。」
ヴェルディの姿を見ると、ジゼルは立ち上がり頭を下げ挨拶。
ジゼルの声に新聞から顔を上げたヴェルディは、挨拶を返すと向かいのソファーに腰掛けた。
「今日、隣町まで出かける事にした。随分と長い道を歩かないといけなくなるが、大丈夫か?」
「はい、大丈夫です。」
くつろぐように脚を組み、肘をつくヴェルディはジゼルに問う。
するとジゼルは心配してくれた事が嬉しかったのか、はにかんだ笑顔を浮かべ大きく頷いた。