善と悪の狭間で・・・
「あ、ヴェル。起きてたんだ。」
2人で話していると、コウガがホットミルクの入ったティーカップを手に再びリビングへとやって来た。
ヴェルディとコウガは挨拶を交わすと、コウガはジゼルの前にホットミルクを置いた。
ジゼルは礼を言い頭を下げると、コウガは優しく微笑み壁に背をつけるとミルクを一口。
ティーカップを両手で包み込むように持ち体を温めていると、
「それにしても、リョーガはまだか?」
「そうみたいだね。相変わらずリョーちゃんは寝起き悪いから。」
ヴェルディは階段へと目を向けそう呟いた。
ティーカップを口元に添えたままコウガは呟くと、にこりと笑顔を作りヴェルディへと顔を向けた。
くつろいでいたヴェルディもコウガを見ていて、目が合うと起こしてこいと顎で促す。
笑顔を浮かべたままのコウガは、それを拒むように顔を背け何事も無かったかのようにミルクを口に運ぶ。
「私、起こしてきますね。」
2人のやり取りを見ていたジゼルは、そう言うと苦笑い。
それだけ言うと二階の部屋を目指し歩いて行く。
ジゼルの言葉に間抜けな顔を見せる2人は、そそくさとリビングを後にするジゼルへと顔を向け、数回まばたきを繰り返すのだった。