善と悪の狭間で・・・
陽に焼けたカーテンを揺らし、棘を持つ強風が小さな窓からやって来た。
その強風は10畳程の小さな部屋を翔て行き、淀んだ空気を洗い流す。
部屋に訪れたその風は窓硝子をカタカタと揺らし、足早に部屋から立ち去った。
そこは塔の最上階。
家具は特に無く、目に入るのは部屋の奥のベッドだけ。
小さな窓の傍のベッドの中には、静かに眠る少女の姿が。
純白の毛布から覗く小さな肩はその毛布に負けない程白く透き通り、美しい瞳を隠すように瞼を閉じる。
小さな窓から差し込む陽が何かに遮られ、少女の綺麗な顔に光が当たらなくなる。
部屋が闇に満ち、彼女から目を放したその一瞬の出来事だった。
1人の男性が、ベッドの中に収まる彼女を見下ろすように覆い被さっていたのだ。
両手を肩の傍に付き、イエローの妖しい瞳で少女を見つめる。
「やっと見つけた……我らが姫………」
意味あり気な言葉を口にすると、彼女の長いプラチナブロンドの髪をそっと撫で、その手を滑らせきめ細かい頬に触れる。
何をされようと微動だにしない彼女。
そんな彼女の頬に愛おしそうに手を添えると、彼はゆっくと彼女に顔を近づけた…