さようならの向こう側
第1章暗闇

 死にたい・・・

そんな気持ちが、また、頭にうかんだ。

「由希―起きないと遅刻するよー」

下でお母さんが呼んでいる。

『学校なんてもう行きたくない。」

心の中でそうつぶやいた。

中3のときアタシは、なんで高校に早く行きたいなんて
何にときめいていたんだろう。

 それは、突然始まった。
ある日、親友のまこにいきなり言われた。

「ウザイんだけど、もう学校くんな。」

原因は、アタシが体育祭の準備中、高熱をだして
倒れてしまった時、
まこの彼氏の和馬くんが保健室へ運んで看病もしてくれていたところをまこに見られたから。

 まこは、すごく可愛い。
クラスでも中心にいる。

「由希がまこの和くんをとった。」

まこがそう言うと、クラス中にそれが知り渡り、

次の日学校へ行くと

「お前サイテーだな。それだも親友か?」

と言われた。何がなんだか分からなかった。
ただ、クラス中がアタシを見る目を変えたことは分かった。

そのことを、否定しても誰も耳をかたむけてくれなかった。
それだけならまだ我慢できた。

でもだんだんエスカレートしていき、アタシが、和馬君と
話したり、一緒にいてもにらまれ、シカトされ、ついには嫌がらせへと変わった。

もの隠しはほぼ毎日、机に「カップルつぶし」といたずらがきされ、変なメールもいっぱい来るようになった。

 それがいじめになったのはつい最近。

今までは精神的暴力だったが、それが肉体的になった。
おされたり、トイレで、手と足を押さえつけられて
雑巾で顔を拭かれた。

それから、校庭の水のみ場に水を溜め、そこに顔を
つっこまれた。その時は死ぬほど苦しかった。
肉体的にも、精神的にも・・・。
 あるとき、掲示板にアタシの名前で、

「セフレ募集中!誰かアタシを抱いてください!!」

と書き込まれ、学年中の男子や、知らない人から、

「OK~。20時に○○に来て~。」

 などと言うメールがいっぱいきた。


 そんな学校にはもう行きたくない。


 そんなことばかり考えていた。

そう、おとといまでは・・・。




 



< 2 / 4 >

この作品をシェア

pagetop