∞いちしのはな∞
調子に乗って「どこ行くの?」なんて聞きそうになった。
危ない危ない。

またムスッとされたらどうするんだよ。

僕はふぅ、と息を吐いて部屋の窓を開ける。
見下ろすと彼女が居た。

ペッタンペッタンとマヌケな足音を奏でながら歩いている。
高台にあるこのマンションは、坂に毎日息を切らすかわりに閑静で見晴らしが良い。


大きな棉飴のような入道雲が一つ、水色一色の空を泳いでいる。


今日は、きっと良い一日だ。
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