∞いちしのはな∞
近所で評判のこの店は、昼時もあって大盛況だ。
開店率をかねてか、効き過ぎた冷房も
少しずつ増えた人によって生憎和らいできた。


「食え。」

「嫌。」

「じゃあ家までついてくからいいけどな。」

「は?勘弁してよ。
あんた結婚したばっかでしょ、なのに毎日毎日あたし付け回してムッチャンに寂しい思いさして店番さして最悪。」

「うちの本屋に忙しい時間は無いし、嫁は只今昼ドラに夢中なの。
だいたい嫁のがお前心配してんだから黙って早く食え。
チヨにちくんぞ。」


姉の名前を出されたら、箸を取らざるを得ない。
幼なじみって云うのは弱い所を知っているもの。
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