∞いちしのはな∞

昨日、物凄く疲れた顔で帰って来たトモは
今朝もまだ寝室から出て来ない。

脱ぎ捨てた彼女のデニムから、カサカサと銀色のゴミが落ち
それが安定剤を包んでいたものである事に気づき

僕はまたしゃがみこむ。

カーテンを開ける前のリビングは、強い外の日差しを遮り
やんわりとした橙色を漂わしている。

彼女になにがあったのか
其れすらもう聞けない程に距離が開いてしまった。


荒々しく薬を取り出し飲んだんだろう。
包みはくしゃくしゃになっていた。

苦しかったんだろう。

僕は其れを握り締める。
きつく、握り締めた。
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