気狂いナースの注射芸
さすがにそういう経験位はある。
美枝は、自分の中で果てた河野の首筋を撫でた。
男の割には細い首。
何とも形容し難い気持ちになり、美枝はむさぼる様に首筋に唇を押し当てた。
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「よし、じゃあ今から仲木戸さんの様子を見に行って―――」
「河野先生!」
「はい。―――ああ、有藤先生」
「探してたんですよ!203の小中さんが今日の検査受けないってゴネて……。良ければちょっと手伝って下さらない?」
「あ、良いですよ。―――ごめん、仲木戸さん頼む」
「はい」
事を終え、河野と美枝は他の看護婦達と共に特別隔離室へ向かうところだった。
そこを女医の有藤が呼び止め、河野を連れて行ってしまった。
「バレバレ」
特別隔離室への廊下を歩きながら、美枝の耳元で奈津子が言った。
「有藤、絶対河野先生を狙ってる。どうせ、手伝ってくれたお礼〜なんて口実で食事とかに誘うつもりだよ。昨日も何か帰りに一緒にどっか行ってたじゃん?―――アレで何かあったのかな」
なかなかどうして、奈津子と自分の考えが同じだったなんて思いもよらなかった美枝は、
「――――っ」
嫌な予感に目を細めた。
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