放課後の寝技特訓・熊田先輩の横四方固め
主将は深くため息をついた。

「とりあえず熊田、ズボン履け。いつまでパンツでいるんだよ、目障りだ。」

主将は熊田先輩を見ずに、吐き捨てるように言った。
そして俺を見つめて言う。

「お前は、何のことだかわかってないみたいだな。まあ、いい。今後こういうことが起きないよう熊田には厳しく言い聞かせるから、お前はわからなくてもいい。ただな、危なかったんだ。非常に危険な状況だったんだ。それだけはおぼえておけ」

何も言えず、うなづくだけの俺。

部室のスミでは、熊田先輩が学生服のズボンに足を通している。
上はピチピチの黒いタンクトップ。
厚い胸板と太い腕が強調されているのに、さっきまでと比べると不思議なくらい迫力が消されている。
熊田先輩をここまでおとなしくさせてしまう主将。
主将もまた男の中の男なんだろう。

おそるべし!
おそるべし、我が柔道部!

「お前も早く服着て、今日は帰れ。すまなかったな、入部早々こんな目にあわせてしまって。」

主将が俺に頭を下げた。

「とんでもないです、主将、熊田先輩、これからもよろしくお願いします!」
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