放課後の寝技特訓・熊田先輩の横四方固め
5月、クラスメートの亜希から突然告白された。
亜希とは何回かしか喋ったことはなかったから、まさに突然の告白だった。
もちろん返事はOK。
いろいろうるさいだろうからと、誰にも内緒の恋愛がスタートした。
夢のような日々が始まった。
5月の終わり、練習前に、熊田先輩はいつものように話しかけてきた。
「どうした?お前、最近ニコニコしちゃってるな。なんか良いことでもあったか?うふふ、そんなことよりも、うふふ、ボディービル大会のビデオが手に入ったんだが、どうだ?貸してやろうか、うふふ」
熊田先輩は俺の肩を優しくもみながら言った。
熊田先輩は相変わらず俺を気に掛けてくれてる。
俺は尊敬する熊田先輩になら、亜希とのことを話しても良いだろうと思い、正直に打ち明けてみた。
「ニコニコしてますか?あの、熊田先輩、俺、彼女出来たんですよ!」
熊田先輩の顔から表情が消える。
「あの、クラスメートの娘で、きれいな娘なんです。コクられて、付き合いました!」
体が後ろに引っ張られたと思った時には、俺はすでに送り襟締めをかけられていた。
まわりにいた2年生が異変に気付き、すぐに止めに入ったものの、熊田先輩の送り襟締めは3人がかりでも解けなかった。
俺の首にきっちり熊田先輩の腕がからんでいる。
「ゆるさない!うそつき!柔道を恋人にするって言ったじゃない!」
薄れていく意識の中、熊田先輩の涙声が聞こえた。
さすが寝技の柔道を公言する男。
熊田先輩は2年生と1年生、5人ががりでようやく俺から引き剥がされた。
引き剥がされた熊田先輩は、泣きながら走り去ったらしい。
意識を取り戻した俺に、主将はそう教えてくれた。
その日から、熊田先輩は、もう俺に笑いかけてはくれなくなった。
部活でも俺とは目も合わせてくれない。
嫌われてしまったのだ。
俺は熊田先輩に嫌われてしまったのだ。
いつだか主将にそのことを尋ねると
「これでよかったんだ、お前にとっても熊田にとっても…」
と遠くを見ながら言っていた。
俺は“柔道を恋人にする”という約束を破ったため、尊敬する熊田先輩を怒らせ、嫌われてしまったのだった。
亜希とは何回かしか喋ったことはなかったから、まさに突然の告白だった。
もちろん返事はOK。
いろいろうるさいだろうからと、誰にも内緒の恋愛がスタートした。
夢のような日々が始まった。
5月の終わり、練習前に、熊田先輩はいつものように話しかけてきた。
「どうした?お前、最近ニコニコしちゃってるな。なんか良いことでもあったか?うふふ、そんなことよりも、うふふ、ボディービル大会のビデオが手に入ったんだが、どうだ?貸してやろうか、うふふ」
熊田先輩は俺の肩を優しくもみながら言った。
熊田先輩は相変わらず俺を気に掛けてくれてる。
俺は尊敬する熊田先輩になら、亜希とのことを話しても良いだろうと思い、正直に打ち明けてみた。
「ニコニコしてますか?あの、熊田先輩、俺、彼女出来たんですよ!」
熊田先輩の顔から表情が消える。
「あの、クラスメートの娘で、きれいな娘なんです。コクられて、付き合いました!」
体が後ろに引っ張られたと思った時には、俺はすでに送り襟締めをかけられていた。
まわりにいた2年生が異変に気付き、すぐに止めに入ったものの、熊田先輩の送り襟締めは3人がかりでも解けなかった。
俺の首にきっちり熊田先輩の腕がからんでいる。
「ゆるさない!うそつき!柔道を恋人にするって言ったじゃない!」
薄れていく意識の中、熊田先輩の涙声が聞こえた。
さすが寝技の柔道を公言する男。
熊田先輩は2年生と1年生、5人ががりでようやく俺から引き剥がされた。
引き剥がされた熊田先輩は、泣きながら走り去ったらしい。
意識を取り戻した俺に、主将はそう教えてくれた。
その日から、熊田先輩は、もう俺に笑いかけてはくれなくなった。
部活でも俺とは目も合わせてくれない。
嫌われてしまったのだ。
俺は熊田先輩に嫌われてしまったのだ。
いつだか主将にそのことを尋ねると
「これでよかったんだ、お前にとっても熊田にとっても…」
と遠くを見ながら言っていた。
俺は“柔道を恋人にする”という約束を破ったため、尊敬する熊田先輩を怒らせ、嫌われてしまったのだった。