放課後の寝技特訓・熊田先輩の横四方固め
自分の席で昼飯を食っていると、目の前を亜希が通った。
亜希は、俺と目が合うとクスリと笑い、そのまま廊下へ。

なんで笑うんだろ?
ふと箸の先を見れば、俺がつまんでるのは“チョリソー”だ。
母ちゃん…、弁当に夕飯の残りのチョリソーつめるから、俺は彼女に笑われちゃったよぉ。

まあ、あの授業の後だもんな、俺がチョリソー食ってたら、若干ファニーだ。
亜希に後でなんか言われるかな?
「チョリソー好きなんだね!」
くらいは言われる気がする。
なんか格好悪いな…。

て、チョリソーはどうでもいいんだ!

そんなことより、俺は熊田先輩にあやまりにいかなくちゃ。

昨日風呂に入りながら考えたんだよね。
やっぱ熊田先輩と、あの頃みたく仲良い関係でいたいって。
信頼できる熊田先輩の存在って、やっぱ大きかったんだよ。
なんでも打ち明けれる相手って、すごく貴重だもん。
だから風呂で考えた結果、熊田先輩にあやまって、許してもらうことにした。

熊田先輩は昼休み、部室で筋トレしてるはず。

部活中は取りつく島もないし、居残り練習は禁止されてるし、熊田先輩と話をするチャンスは、昼休みの今しかないんだよね。

もう、チョリソー食ってる場合じゃない!

母ちゃんすまん!
俺は食べかけの弁当のふたを閉め、急いで部室に向かった。
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