放課後の寝技特訓・熊田先輩の横四方固め
そんな亜希と、放課後の教室で2人きりになった俺。

意識しちゃってね、心臓のバクバクは止まらない。

ぎこちない手つきで携帯電話をいじるふりをする。

亜希と話してみたいんだけどさ、きっかけがつかめないんだ。

…。

まず、捨てようって思った。
この状況に対し“女の子とのスイートなラッキータイム”だなんていう認識をまず捨てようって。

亜希との、この状況は、試合みたいなもんだと思おう。
潰し合い、勝つか負けるか、死闘。
この状況は、そういう言葉で表現されるべきだ。

うん、そう。これは1対1のデスマッチなんだ!ってね。

俺の頭の中でリングアナウンサーの声が聞こえた。

“青コーナー、172センチ・58キロ、柔道部所属、顔に仮面は付けれても、心に仮面は付けれない、夜空で瞬く星達が望遠鏡で見えるなら、いつも冷めてるあの娘の裸の心も見えるはず、隠すなら覗いてみせようカニ星雲、望遠鏡を覗き込んで地上の星を変体観測、ギリギリのストーキングファイター、ガリレオ☆ガリガリ〜!”

いいよね、俺のリングネームは“ガリレオ☆ガリガリ”。
悪くない。
え〜と、じゃあ、亜希のリングネームはなんなんだろう。

“赤コーナー、165センチくらい、たぶん40キロ後半くらい、緑化委員会所属、鉄の女の正体は今日も誰にも未確認、NASAが下した結論は不本意ながら観測不能、男心をゆさぶるフェイス、瞳はまさに大宇宙、はたして淫乱か?貞淑か?ミステリアスファイター、シークレットエックス!”

リングアナウンサーは2人の戦いを実況する。

“さあ、世紀の一戦、ガリレオ☆ガリガリ対シークレットエックスのゴングが鳴りました。両者間合いを取りながら、相手の出方をうかがっております。
ガリレオ☆ガリガリはアウトレンジからの長距離攻撃が得意ですからね、出来ればこの距離から仕掛けたいところ。
逆にシークレットエックス、接近戦の破壊力は絶大です、シークレットエックスとしては組み合ってしまえばというところでしょうか”
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