放課後の寝技特訓・熊田先輩の横四方固め
亜希と俺とのファーストコンタクトはこんな感じだった。

あとからつくづく思ったのは、
“亜希は会話が上手い”
ってことだ。

俺がふらついてたから、この時はなんか変なからみになったが、亜希の喋りはばっちりだった。

なんかさ、自然なんだよね。

亜希はタイミング?間合いが良い。

なんだろって考えてみると、亜希は俺が力を抜いてる時に、話してきてたんだよね。

息を吐いてる時に、ポンって言葉を渡してくる感じ。

その辺りが絶妙で、心地好かったんだな。

後でそれに気付いた時にね、やっぱ思った。

亜希、他の女子達ともこう喋ればいいのにって。

会話上手なのに、他の女子達にはどっか線を引いてるからね。
もったいない、もっと仲良くできるはずだ。

それを言ったほうが良いのかと考えたこともあったが、結局はやめた。
そんなのは、きっとお節介だもんね。

この娘なりの理由があってのことなのかもしれない、とも思ったし。

うん、とにかく、どこか不思議な娘、亜希との関係はこうして幕を開けたんだ。

まあ、部活終わって速攻メールしたよね。

それから少しずつやりとりするようになった。

そこまでお互いを知ったわけでもないのに、一週間後にはコクられて付き合い始めたし、さらに一週間後には公園で初めてチューしたし。

5月の終わり前には、もう亜希の部屋でやっちゃった。

クラスの誰にも内緒で、俺の高校生活を彩ってくれる亜希。

大切なこの娘のことを喜ばせたい。

そして感じさせたい。
< 56 / 101 >

この作品をシェア

pagetop